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本日のカデンツァ

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音楽という奇跡〜国際障害者ピアノフェスティバル in バンクーバー

音楽という代物は時に予想をこえた感動を私にもたらしてくれる。 “ビバカナディアン”をモチーフに作曲、編曲された作品を演奏するコースは、1日にセミファイナル、2日にファイナルが行われた。
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受賞者の皆さん

受賞した3人の日本人とお話をする機会をえたのでそのインタビューを紹介したい。

ジュニアA部門2位を受賞した小学6年生の重本安見さん(11)。合短指症で左手の指が生まれつきない。手関節はとてもよく動くので、小指側(尺側)の先端を使って
ピアノの打鍵をする。しばしば右手とクロスさせて左手をメロディーラインに使うこともできる。まだ小さな6本指のピアニストだ。
ピアノをはじめたきっかけを尋ねると『1年生のとき友達がピアノを楽しそうに弾いていたから、私もやってみたくなりました。』そう答えた彼女にインタビューをしてみた。
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今回のフェスティバルはどうでしたか?
—緊張はしたけどとても楽しかったです。緊張をしないように家で弾いているイメージで弾くようにしてみました。満足できました。
これからどんな曲を弾いてみたいですか。将来の夢は何ですか?
—ショパンの『革命』のエチュード。将来はふつうの主婦になって子供が欲しいです。ピアノは続けたいです。
まだまだあどけなさが残る安見さん。受賞した曲は小林夏衣さんの作曲によるもの。小林さんは第1回目のピアノパラリンピックの入賞者でもあり、先月大阪フィル(指揮:大植英次)とモーツァルトピアノ協奏曲20番で共演したことで話題になった作曲家をめざす高校3年生である。

A部門で3位となった桑原良恵さん(23)。彼女はデモンストレーションコンサートでこれまでにカーネギーホールをはじめ多くのところで演奏をしている。
先天性のさまざまな障害により身長は100cmの小さなピアニストだ。そして4歳のときに視力も失った。そして小さな彼女の手の示指〜小指はPIP関節に屈曲拘縮があり完全には伸びない。
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いつからピアノをはじめたのですか?
—7歳のとき、指のリハビリをかねてピアノを始めたんです。

好きな作曲家は誰ですか。それからこれからやりたいことは?
—好きな作曲家はモーツッァルトとショパン。最近はフランスのドビッシーも好きです。月の光とかスーと心に入ってくる感じがするから。オクターブがとどかないのが難点ですが。
将来もずっと音楽を続けたい。音楽を愛し続けたい。
緊張やプレッシャーがあっても弾き始めると音楽は安心感を与えてくれるから。

—バンクーバーはいかがでしたか?
バンクーバーはとてもいい町、とてもよい空気を感じました。

A部門での優勝者は山崎理恵さん(34)。桐朋音楽大学ピアノ科に入学し、20際の頃、全身性エリテマトーデスという病気にかかった。ピアニストとして活動をはじめていたころに病状が悪化して脊髄におよび、両下肢完全麻痺となった。彼女の問題はピアノのペダリング。それを克服できたのがピアノペダルアシストという装置。4年前から笛に息を吹き入れることによってその強さをセンサー感知してピアノのペダリングを行うという装置を開発し、1年前にようやくそれが完成した。慣れるまでは何度か酸欠で倒れたこともあったという。
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ピアノを弾きたいという情熱が彼女をここまで駆り立てたのだろう。とても美しくしかも情熱的な演奏だ。ビバカナディアンの主題をピアノのための3つの小品にしたて、ラベルを連想させる光がきらきらと射し込むような美しい曲を見事に表現した演奏だった。マウスペダルにはまだ改良点があるという。演奏中に小さな機械音が鳴ること、それから10分適度ひくと水滴がたまりセンサーの感度が鈍くなるということだ。
“車いすのピアニスト”として、それからまたピアノを教えるピアノの先生として北海道で活躍中の山崎さんに今後とも注目していきたい。
山崎理恵オフィシャルサイト〜車いすのピアニスト〜
by aurorapiano | 2009-10-07 18:26 | ピアノ

音楽・四方山話


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