本日のカデンツァ

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ハンブルグ州立歌劇場 『トスカ』

2009年10月21日、ハンブルク歌劇場”トスカ”の公演。
ハンブルク州立劇場は中央駅からU2で2つ目のGänselmarktで下車すぐ。時間に余裕があれば中央駅からBinnebalster(内アルスター湖)を眺め、美しい街を散策しながら歩いて行くこともできる。
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この劇場はLogeと呼ばれるいわゆる仕切った席が20席ずつありどこからでも劇場がよくみえるようになっている。
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『トスカ』は2000年のプレミエ以来、67回目の公演。今シーズンは3回のみ。今夜が今シーズン最後の上演となった。パオレッタ・マロキュのトスカはとにかく素晴らしかった。

舞台は読み替えというほどではないが、とてもシンプルな演出であった。1幕は礼拝堂の中、2幕は宮殿の中、そして3幕は牢屋の中とすべて室内という設定となっている。1幕の礼拝堂のシーンでカヴァラドッシが書いているマリア像が舞台下手奥にある設定であり、左の席からは絵なるものがあるのかないのか全くみえず、残念であった。

弦と管のバランスがよくオペラによく慣れたオーケストラだ。ステファン・ラノのタクトは音の明暗のコントラストがよく表現されている。
2幕と3幕の場面転換の間、ピットでは一つの事件が起こっていた。指揮者のラノとコンマスが楽譜の最後をめくって何やら確認している。ラノが手を動かしてこのタイミングでいくぞとでも言っているのだろうか。
それは舞台のラストに明らかになった。

2幕、3幕とトスカが際立っていたが、それにつられるかのようにカヴァラドッシ役のミロスラフ・ドヴォルスキーも次第にその存在感を増してきた。『星も光ぬ』そして『優しい手よ』の二重唱もぴったりと息があってくる。
3幕のオーケストラの演奏は、特にチェロ(4本)の美しい旋律のモチーフから大きな意識を払っていたと感じられた。ピットと舞台が引き寄せられるようにかみ合って、旋律家と呼ばれるプッチーニの音楽の良さが引き出されていった。
劇的なストーリーの展開のラスト10分は不覚にも涙が込み上げてくる。
“劇場のトスカになってね。” 現実はそうならず、カヴァラドッシの死を確認したトスカが城から身を投げるシーンには仕掛けがあった。マロキュは舞台奥まで走り、そこでほんの一瞬、息を吸い込むように立ち止まり、それと同時に最後のフレーズが鳴り、舞台奥から下に飛び降り、暗転というラストだった。ピットで確認していたのはこのシーンの音のタイミングだったのだろう。
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愛を貫いたトスカは舞台をおりてもトスカのままだ。パオレッタ・マロキュは声の伸び、響きといい、演技力といい素晴らしいトスカを演じていた。決して激しい女性ではなく、自分の信じる愛だけを貫く情熱を秘めた共感に値する女性を感じた。悲劇ながら勇気を与えられる作品だった。
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ハンブルク州立歌劇場 (Philhamoniker Hamburg)
指揮:ステファン・ラノ
トスカ:Paoletta Marrocu
カヴァラドッシ:Miroslav Dvorsky
スカルピア:Sergej Leiferkus
アンジェロッティ:Hee-Saup Yoon
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by aurorapiano | 2009-10-24 17:34 | オペラ

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