本日のカデンツァ

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ラ トラヴィアータ 2つの前奏曲

第1幕、前奏曲のはじまり。あくまで少し悲劇を予感させる程度、決して悲愴感を感じさせない入り方、ここはこの方が好きだ。ここでは少なくともヴィオレッタの死の予感はない。ロ短調ミサに代表されるh-mollは少し、敬虔なミサのような感じさえする。実際の記譜はシャープが4つ、記譜上は何故か明らかなロ短調でない。
受けとめやすいテンポなのだ。不幸や死を予感させる呼吸ではなく、日常の喜怒哀楽の中に存在する息づかいに似ている。
続くヴィオレッタの愛のテーマ、2幕1場でアルフレッドに別れを告げるシーンで再現される”私を愛して頂戴”。極端なデクレッシェンドはなく不幸や悲劇的展開、そして死をはっきりと予見させず、この前奏曲はあくまでE-durであることを示しているように感じる。(2幕1場ではF-durである。)

第3幕の前奏曲、これはc-mollで同じテーマが繰り返される。音量的な変化はさほどなくむしろ弱々しさはない。1幕のそれに比べ、ぐーっとテンポを落としている。このテンポの緩急が愛の喜びと別れそして死を見事に表現している。
後半のアーフタクトで入る半音階的下行でテンポを緩めそのルバートさは、心と心拍そのもののずれが生じたように、何かが起こる予感を示唆する。
アルフレッドが戻ってきて幸福の絶頂のヴィオレッタが再びそこにあり、パリを離れて、二人でゆっくり幸せに。
その瞬間に初めて本当の最期の時を迎える。

2008.6.11 新国立劇場 『椿姫』 
指揮 上岡敏之  東京フィルフィルハーモニー交響楽団
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by aurorapiano | 2008-06-23 20:12 | オペラ

音楽・四方山話


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