本日のカデンツァ

aurorapia.exblog.jp ブログトップ

<   2008年 11月 ( 1 )   > この月の画像一覧

新国立劇場 『リゴレット』

『リゴレット』これはヴェルディ38歳のオペラであり『トロヴァトーレ』『椿姫』の前作にあたる。
歌手である恋人のジュゼッピーナとの閉鎖的な生活、シェークスピアへの深い傾倒により、この頃のヴェルディ自身がそうだったのだろうか。これらの作品には人間の心的内面の描写が細かく織り込まれている。

リゴレットの作品においてその心的描写の山場は第3幕にある。
減七で不隠を予期させる短い前奏曲に続き第1幕のフィナーレでは悲劇の予感をはっきり示す。第2幕では父として娘を思うリゴレットの家族愛。ジルダのマントヴァ公爵に対する純愛。リゴレットの公爵に対する復讐、呪い。愛と悲劇が交叉する。
第3幕の公爵が酒場の女(殺し屋の妹)をくどき、影からそれをみた娘ジルダがその姿をみて苦しみ、父リゴレットが復讐を説く、四重唱がひとつの大きな山場である。4人の4通りのごく当たり前の人間としての感情が美しくかつ激しくよく描かれ、好演であった。さらにジルダとリゴレットの最後の二重唱はジルダ役のアニック・マッシスの“天でお父様のことを祈っています”では 哀しみとはかないながら一筋の光のような美しい慈しみ、祈るようなメロディーが印象的であった。

第3幕のあの有名なマントヴァ公爵の『女心の歌』。
悲劇の顛末を予見しながらも一時楽しい気持ちにさせられる不思議なアリアである。この曲はある意味、普遍的な男性像を描いているようにも思える。女性を愛し、戯れ、巧みに愛を語り、解放された男心を描きたかったのだろうか。後にヴェルディ自身もこれまでのオペラにない傑作のカンツォーネだと語ったといわれるほどだ。ヴェルディ自身の心を等身大に映し出した音楽かもしれない。

リゴレットの音楽は調性が自由であること、心的描写の移り変わりに音楽が連動していることを感じさせる。歓びには歓びを、怒りには怒りを、哀しみには哀しみと、そしてはかない祈りが織りなされている。

2008年10月31日 新国立劇場 歌劇「リゴレット」  開演19時
指揮 ダニエレ・カッレガーリ
演出 アルベルト・ファッシーニ
リゴレット(B) ラード・アタネッリ
ジルダ(S)アニック・マッシス
マントヴァ公爵(T)シャルヴァ・ムケリア
[PR]
by aurorapiano | 2008-11-02 18:08 | オペラ

音楽・四方山話


by aurorapiano
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite