本日のカデンツァ

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ベルリン シュタッツオーパー“トリスタンとイゾルデ”で開幕

8月29日、晴天に恵まれ、ベルリン・シュタッツオーパーではバレンボエムの“トリスタンとイゾルデ”でシーズンの幕を開けた。シュタッツオーパーの隣のベーベルプラッツではすでに明日のオープンエアコンサートに向けて会場の準備が始まっている。
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16時すぎにAbendkasseに行く。Kaaseの前で学生らしきアジア人から3階席を8ユーロでゆずりうけた。3階席は2列目以降になると残念ながら舞台もオケピットもほとんど見えない。1列目はまさに天井桟敷というべき席で、サイドからではあるが舞台もピットも照明操作もズームを落として全景を撮るかのようにすべて見える。(長丁場のトリスタンをみるには少し疲れる席にはちがいないのだが。)
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譜面台の上には紫色のタオルと指揮棒のみ。バレンボエムの緩やかなリードによってトリスタン和音が静かに始まる。舞台の真ん中には大きな羽をつけた天使の像があるのみ。
トリスタンにIan Storey、イゾルデにWatraud Meier。マイヤーは2年前の日本公演の際にももちろんイゾルデを演じた歌手。小柄ながら表現性は豊かで聴いているものがすーとその世界にいつしか引き込まれていく。
2幕のふたりの愛の語らいは、小さな螺旋階段を一歩一歩上っていくかのように息が合っていった。マルケ王役のRena Papeも伸びやかで力強く素晴らしい声。バレンボエムも汗を拭いながら、(左手にコップをもって水を補給するシーンもみられたのだが)その後には、時折立ち上がって大きく指揮棒をまわし、常に舞台をリードし続けていた。

17時に開演し、終演は22時半。5時間におよぶ長丁場ではあるが少しも時間を感じさせないすばらしい舞台であった。この演出になり今日は29回目の公演、しかも昨年の9月の公演以降プローベはなかったそうであるが、さすがバレンボエムの“トリスタン”であり、満足いく公演であった。
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短いカーテンコールの後、劇場の外ではひと騒ぎ、どよめきの声が。
でてみると劇場のすぐ横で花火の大サービス。はじめて見るドイツの夏の花火。
満足感と幸せ度が倍増した。

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ベルリン国立歌劇場 Staatskapelle berlin
指揮:ダニエル・バレンボエム
トリスタン:Ian Storey
イゾルデ:Waltraud Meier
マルケ王: Rene Pape
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by aurorapiano | 2009-08-31 21:47 | オペラ

ゲバントハウス メンデルスゾーン音楽祭”宗教改革”

8月21日よりライプチヒではメンデルスゾーン生誕200年音楽祭が始まった。
初日、オープニングコンサートはゲバントハウス大ホールで行われた。ゲバントハウスはライプチヒのZentrumからほど近いAugust Platz に位置する。向かいにはオペラハウス、すぐ横にはMDRの斬新なビルが建ち、新旧いろいろ混在した不思議な音楽空間である。またゲバントハウスから5分のところに少年時代、メンデルスゾーンが過ごした家(現在のメンデルスゾーンハウス)、10分ほどでロベルト・シューマンがクララ・ヴィークと結婚してすぐ4年ほど生活したInserlstrasseの家にたどり着く。先日、ゲバントハウスの前を散歩しているとMDRの主席指揮者である準メルクル氏と偶然にもすれ違った。
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メンデルスゾーン祭のオープニングのタクトはMaukus Stanz(マルクス・スタンツ)。2003/04年のシーズンからケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団(ケルン歌劇場のオケでもある)の首席指揮者であり、今シーズンからはマンチェスターのハレ管弦楽団の客演指揮者も兼任する若手の指揮者である。ビオラのソロで始まる、D.Glanertの“オーケストラのための無言歌”(世界初演)で幕を開けた。
続いてラベック姉妹によるメンデルスゾーンの“2台ピアノと管弦楽のための協奏曲”。このふたりの息のあったアンサンブルは今なお健在だ。軽くて女性らしく美しいタッチに粒のそろった早いスケール。ピアノのソロパート、カデンツァもまるでひとつの意識が4本の手をコントロールしているかのように感じられた。
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実力派でしかもビジュアル系のラベック姉妹は、鳴り止まない会場の拍手に応えて、連弾をサービスしてくれたのも感動!よく見ればことに姉のKatiaは10cm以上もあるピンヒール。これでよく華麗なペダリングをと思うとこれまた感動!であった。
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続くメンデルスゾーンの交響曲5番“宗教改革”。数時間前のMotetteを思い出しながらゆっくり耳を傾けることとした。
この曲はメンデルスゾーンが21歳の作品で、交響曲1番に続いて作曲された。ルターの宗教改革を記念して作られたため“Reformation“と名付けられた。
この交響曲にはドレスデンアーメンに加えて、ルターが1529年に作ったコラール“Ein Feste Burg unsere Gott“がモチーフとして引用されていることで知られる。

弦の厳かな序奏で始まり、たっぷりとしかも崇高にドレスデンアーメンを奏でる。トランペットはまるで教会のパイプオルガンの音が直接空気に振動するかのように厚みをもった張りのある音で改革の扉を開ける。金管の空気の振動を残したまま弦が弱音で厳かに始まり、革新を表現するかのようにニ短調が始まる。とにかく金管の響きの正確さと力強い美しさが際立っていた。
つづく2楽章はクラリネットとフルートのアンサンブルが同質の音色であり、心地よい。その旋律を支えるように弦楽の調べが強弱をつけながら軽快に進んでいく。まるで改革の扉を開くように高らかに、リズムは一定でありながら、音質の強弱によりメリハリをもった音楽に仕上がっていた。
弦楽の調べで静かに始まる3楽章。スタンツは指揮台に棒を静かにおいた。右手、左手を自在に動かし、ルターやメンデルスゾーンの改革に対する深い思慮を演出する。そこから静かにも敬虔な旋律が紡がれ、フルートの調べでもってルターのコラール“神はわがやぐら”を用いたライトモチーフで間をいれず4楽章が始まる。コラールが終わりテンポがあがるやいなやスタンツの右手には指揮棒が戻った。
フィナーレにはテンポを変化させ進めることによってAnimato(アニマート)を強調。最終章は再びコラールモチーフに戻り高らかに改革の扉が開いた。

シーズンのオープニングコンサートとあってか、終演後にホワイエでは観客にドリンクとお食事のサービス。ゼクトとサンドイッチでメンデルスゾーンに乾杯!
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ゲバントハウス管弦楽団 
指揮 Markus Stenz
ピアノ Katia und Marielle Labeque
(演奏曲目)
Detlev Glannert : "オーケストラのための3つの無言歌"
Mendelssohn : ”2台ピアノとオーケストラのための協奏曲””交響曲5番〈宗教改革〉”
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by aurorapiano | 2009-08-30 18:05 | オーケストラ

ライプチヒ 聖トーマス教会合唱団の"Motette"を聴く

2009年8月21日(金)
聖トーマス教会でのThomarchor(聖トーマス教会合唱団)のMotette(モテット)がシーズンの幕を開けた。Motetteは基本的に毎週金曜の18時と土曜の15時から2ユーロで聴くことができる。本日はシーズンはじめとあって聴衆は満員。開演の1時間も前から人の列ができた。演奏会に先立って今年の新入生は9名が紹介された。
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Motetteは中世末期からルネサンス音楽(15〜16世紀)にかけて成立したミサ以外で演奏されるポリフォニーによる宗教曲のことである。
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聖トーマス教会のMotetteといえばバッハが一般的ではあるが、今回はメンデルスゾーン生誕200年祭にちなんでメンデルスゾーンの“Te Deum laduamus(我ら神であるあなたを讃えん)„が歌われた。これはカトリック聖歌の一つであり、メンデルスゾーンは、1826年、弱冠17歳の時にこの曲を書いている。ユダヤ人として、プロテスタントに改宗していた家に育ち、ルターに思いをはせ、バッハを心から尊敬したメンデルスゾーンの原点は教会音楽にあったといえるだろう。
聖トーマス教会の音楽監督であるゲオルグ・クリストファー・ビラーに率いられた厳かでいて若い力がみなぎったトーマス合唱団の歌声は、その当時のメンデルスゾーンの精神をそのまま表現しているように感じられた。そして、現在の聖トーマス教会の右側の窓にはバッハ、ルター、そしてメンデルスゾーンの肖像がステンドグラスのなかに刻み込まれている。
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このモテットの演奏会では最初と最後に2つのオルガン音楽が演奏された。
始まりはバッハのPassacalia(パッサカリア)ハ短調、そして終わりにはメンデルスゾーンのオルガンソナタハ短調 Op.65/2のGrave-Adagio。2曲のc-mollのなかにピッチの変化が感じられた。メンデルスゾーンはあくまで平均率を意識した音程に保たれていたが、少なくともバッハは純正律を意識したやや高めのピッチに設定されていた。
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聖トーマス教会というすばらしい空間の中で、そこに存在していた実際の音楽家を感じながら静かに過ごせた時間のなかで、音楽の原点というものをあらためて感じさせられた。

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聖トーマス教会合唱団 (2009.8.21 ライプチヒ 聖トーマス教会)
指揮 Georg Christoph Biller
オルガン Ullrich Böhme
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by aurorapiano | 2009-08-26 01:03 | 教会音楽

ドレスデン ゼンパーオーパー ”ジゼル”を観る

8月22日(土)週末を利用して1泊、Dresden(ドレスデン)に出かけた。RBといういわゆる快速電車でライプチヒからは1時間40分でドレスデンに到着。ドレスデンは古くから商業都市として発達し、16世紀以降はザクセン王国の中心として繁栄した都市である。

ゼンパーオーパーは、ドレスデン、エルベ川沿いに位置する世界的に有名な劇場の一つであり、今シーズンもファビオ・ルイージが劇場を取り仕切る。1841年に建築家、ゴットフリード・ゼンパーが建てた劇場であり、現在はザクセン州立歌劇場と呼ばれる。
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本日の演目をみるとデンマーク王立バレエ団の “ジゼル”。せっかく来たのだし、こんな機会でもなければとKasseにチケットを買いにいくと、すでに売り切れとのこと。それでも上演の1時間前にAbendkasse(当日券売り場)に行くと、何とかチケットは入手可能であった。(お手頃なチケットはすでになくCategorieB:Pakette13列22番。)

上演が始まる前に一波乱あり。私の席のすぐ上に貴賓席があり、2階席端からそこに向けて何台も公用カメラが向けられている。いったいなんだろうかと思えば、デンマーク女王、マルグレーデ2世とその妹、ベネディクテ王女がバレエをご鑑賞のため来場されたのだ。これにはびっくり。聴衆は全員立ち上がり、拍手でもってお迎えしたというわけである。
翌日のザクセン新聞のトップ記事
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さて、今回のジゼルは、ダンサーが演技と踊ることをかなり意識して区別しており、まるで二役を演じるように思える。1幕と2幕でのジゼルの演技も踊りも全くキャラクターを変えていたことは圧巻だった。1幕では一人の恋する乙女としての素朴な村娘を、2幕ではさらに踊りがしなやかに伸びやかになり亡霊となった美しく果無いジゼルをと二役を見事に演じ分けていた。死んでしまったジゼルと再会し、アルブレヒトが最後の力を振り絞って踊り、朝が訪れるシーンでは、暗い森にグリーンの照明が床に深く差し込み美しい舞台であった。今回の公演は、ジゼルとアルブレヒトの純愛にフォーカスした演出、ドラマトゥルギーといえるだろう。衣装も古典的でありながら大変美しく、普段からバレエに精通してないものにも目に優しい舞台であった。
終演後は鳴り止まぬ拍手に何度もカーテンコール。来賓もあってかスタンディングオベーションとはならず、拍手と聴衆の足踏み。しかもいつしか拍手がそろっていてびっくり。ドイツの西の方ではこのような経験はないので、これはここ特有のものなのだろうか、と。
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9時10分終演。外はすっかり日が暮れて、一路ノイエマルクトへ。
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2004年に再建された聖母教会(Fruenkirche)を見ながら、外で涼しい風に吹かれながら軽い食事とゼクトを一杯。

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デンマーク王立バレエ団 (2009.8.22 ザクセン州立歌劇場・ドレスデン )
ジゼル    Gudrun Bojesen
アルブレヒト Nehemiah Kish
振付     Jean Coralli and Jules Perrot
演出     Sorella Englund and Nikolaj Hübbe
指揮     Graham Bond
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by aurorapiano | 2009-08-25 05:30 | バレエ

こちらに引っ越しました

”本日のカデンツァ”http://kosdermusik.cocolog-nifty.com/
本日よりこちらに引っ越しました010.gif
よろしくお願いいたします。

2009年8月7日に渡独し、現在は東のLeipzig(ライプチヒ)に滞在中です。
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by aurorapiano | 2009-08-24 06:46

音楽・四方山話


by aurorapiano
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