本日のカデンツァ

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第2回国際障害者ピアノフェスティバル in バンクーバー

9月29日、フランクフルトよりバンクーバーへ。約10時間のフライト。偏西風の影響で日本からより遠いようだ。
2009年10月1日〜3日の日程で第2回国際障害者ピアノフェスティバルがカナダのバンクーバーで行われる。開会に先立って、30日午後6時よりクライストチャーチカテドラル(Christ Church Catedral)でオープニングセレモニーが行われた。
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このフェスティバルは4年前の2005年1月に『第1回ピアノパラリンピック』として横浜のみなとみらい小ホールで開催された。参加コースはA(課題曲:決まった主題による作曲、編曲)、B(自由曲)の2部門からなり、知的障害、四肢障害、視覚障害、聴覚障害、発達障害、重複障害と障害の内容によってさらに細かくコースが設定されている。
4年前の横浜での開催ではA部門は『さくらさくら』の主題による作曲、編曲による演奏ですばらしいオリジナリティと印象的な多くの演奏が話題となった。
今回のカナダ・バンクーバーでの課題曲のモチーフは『Viva Canadian』。参加国も14カ国になった。
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1日午後2時よりA部門のコンクールが始まる。2005年の横浜に引き続き、今回も審査員として参加させていただくことになっている。どんなインプレッシブなメロディーと熱演が聴けるのか楽しみである。

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大会会長の迫田時雄氏の挨拶
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# by aurorapiano | 2009-10-02 02:53

第1回 上岡敏之&ヴッパータールシンフォニーコンサート

2009年9月21日、20時より、ドイツ・ヴッパータール、シュタットハレでWuppertal交響楽団の第1回シンフォニーコンサートが行われた。ドイツもこのところずいぶん日が短くなり20時にはすっかり日も暮れている。
開演の30分も前からホワイエはいつもながら多くの人でにぎわっている。いつも思うのだがここはひとつの社交の場。そしてあまり広くないので知っている顔にかならず出会うのだろう。
このシュタットハレの大ホール(Grosser Saal)は素晴らしいホールである。舞台は少し高めであまり広くはないのでピアノコンチェルトのときなどは舞台がいっぱいいっぱいになる。
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“Freiheit(自由)“がテーマの今日の演奏会はオールベートーベンプログラム。
はじめは『エグモント』序曲。エグモントとは実際に実在したオランダの政治家で軍人であった人物で、民衆の自由を守ろうと独立運動を指導したにもかかわらず、とらえられて死刑になってしまう悲劇的英雄。彼をモデルにゲーテが戯曲を書き、その戯曲にベートーベンが付随音楽として作曲した最初の曲がエグモント序曲である。
拍手が鳴り止むやいなや、悲劇を予感させるようなかなり強い始まりだ。テンポはかなり早め。つづくメランコリックなオーボエの旋律で少しテンポを落とす。中間部の弦は強く縦に刻み、木管の呼応する旋律は上からのせるように。木管には自由と平和を与えるように開放感を与え、弦はしっかりそれを支える。
上岡さんの表情にはエグモントの苦悩、それにベートーベン自身の晩年の苦悩が投影されていたが、最後のファンファーレで高らかに勝利を手にした喜びに纏められた。
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つづくピアノ協奏曲5番。ソリストにAbdel Rahman El Bacha(アブデル・ラーマン・エル=バシャ)、何度も来日しているレバノン出身、フランス在住のピアニスト。
決して強靭で勢いのある演奏ではなく、どちらかというと堅実な丁寧な演奏。第1楽章はピアノのカデンツァに配慮したピアノとオーケストラのバランスもよく熱演もあいまってか、1楽章が終わったところで会場から拍手。2楽章の中間部からピアノ主体の開放的な旋律は本当に美しく、特にピアノが分散和音を受け持ち、木管がメロディーを奏でる部分は感動的であった。
2楽章最後の3楽章のテーマの提示はかなりゆったりと時間をかけて、続く3楽章へ。安定したリズムのライトモチーフと丁寧なスケーリングで、次第に華やかな演奏となっていく。表現は決して大きくはなくむしろこの曲にしては控えめで、音に重量感を感じさせない端正でいて躍動的な演奏だった。
終演後、エル=バシャさんにお話をうかがう機会があったのだが、とても気さくで日本にとても友好的な方だった。好きな作曲家はショパンとベートーベンだという。(11月中旬から日本公演があるそう)

休憩をはさんでベートーベン交響曲7番。アインザッツが素晴らしく美しい。テンポはかなりゆったりめでソステヌートを十分に生かしている。上行の弦も16分音符が8音ずつ正確に刻まれ2拍子を感じることができる。Vivace、8分の6拍子の5小節目、フルートのメロディーからテンポと表現がより色彩豊かに変化する。弦と管、とくに木管のバランスに配慮した曲運びで中間部から少しテンポをあげて、開放感に満ちた演奏であった。それに答えてか、1楽章が終わったところでまた拍手。(しかし、これは2楽章への緊張感を遮断する意味であまりよくなかったように思う。)
緊張感を入れ直して2楽章Allegrettoへ。あまり遅くはない安定したテンポで、強弱のコントラストをつけ、少し重量感を加味した和声学的進行に配慮した演奏だった。時折、上岡さんは右手の指揮棒を左手にもち、右手の細かな動きで指示をいれていた。3楽章は明瞭なスケルツォ。緊張感がほぐれる軽快な演奏だ。ひと呼吸おいて、最終楽章へ。左に右に、上に下に自在にタクトを振り、これほどの情熱がどこからあふれてくるのだろうかといわんばかりの上岡さんに気持ちよいほどオーケストラの音がどこまでもついてくる。コーダのGの音で頂点に登り詰めた緊張感と開放感が同時に溢れ、この作品に似つかわしい情熱的なフィナーレとなった。
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Wuppertal交響楽団との6年目の新しいシーズン。いつもにまして熱いカーテンコール。聴衆も十分、“わが町のオーケストラと上岡さん”を自分たちのものと意識している感が印象的だ。来年10月の東京をはじめ各地で10公演が予定されているという。日本公演も今から楽しみである。

ヴッパータール交響楽団(ドイツ・ヴッパータール Stadthalle)
指揮   上岡敏之
ピアノ  Abdel Rahman El Bacha
(演奏曲目) 
ベートーベン 『エグモント』序曲
ベートーベン ピアノ協奏曲 第5番 Op.73
ベートーベン 交響曲 第7番 Op.92
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# by aurorapiano | 2009-09-26 18:07 | オーケストラ

シューマンの旅(1) 生誕地"Zwickau(ツヴィッカウ)

旅の目的のひとつは芸術家の軌跡をたどることにある。
劇場めぐり、美術館めぐり、そして芸術家の携わった場所に自ら下り立ってみると、そこには歴史上の人物に留まらない、生きた人間像がみえてくる。
8月ライプチヒに滞在した際、Zwickau(ツヴィッカウ)という町に行った。

8月16日、Schumannの生まれたツヴィッカウに向かう。ライプチヒ中央駅からRE(国鉄の快速電車)に乗る。ドイツの夏にしては暑く32度、冷房もない電車で汗だくになりながら1時間20分。そこにたどるまでには大きな町もなく、ただひたすらドイツの田舎風景が続く。

ツヴィッカウ中央駅につく。Zentrum(町の中心)から離れている駅らしく、地図などの案内も全くない。町の中央にあるインフォメーションに行こうと思うのだがそれがどこなのかまったく検討もつかない。
しかも今日は日曜日。人通りもほとんどない。途中で通りがかりの人に聞くが、たぶんあっちだと思うけど。くわしいことはまた尋ねてみてとのこと。
しかもとにかく暑い。歩き進んでいくうちにシティバンクをみつけた。しかもその付近は銀行街。その通りはシューマン通り。ともすればZentrumはそう遠くないはずだ。
ツヴィッカウはシューマンの生誕地ではあるが、その知名度はおそらく低い。
もちろん日本のヨーロッパの音楽ツアーのなかにもこの地は選ばれないだろう。
少し不便だし、それ以外何もない小さなまちだからだ。

Marktに続くと確信できる道を歩き始め、何とか落ち着きを取り戻した。
古いゴシック調の教会を見つけ、その先にようやくマルクトを見つけた。
インフォメーションに行こうとしたが、その前に目的のシューマンハウスは見つかった。
(シューマンハウス 入場料4ユーロ 残念ながら写真撮影は不可、ツヴィッカウ中央駅から徒歩20分)
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シューマンの自筆譜は思ったより数段美しかった。
そしてこの作曲家はこの地に生まれ、作曲以外の音楽に携わる仕事を数々残した。ライプチヒを拠点とする音楽批評のたくさんの音楽記事を書き、ベートーベンの音楽を編集し出版する、出版業も手がけた。
もちろん作曲家としての活動はいうまでもない。そこには彼の妻であり音楽のパートナーであったクララがいた。彼女は頭脳明晰で優れたピアニストであり、よき妻であり母であった。

いくつもの音楽会のちらしが今も残っているのだが、それをみるととても面白い。その音楽会はクララ・シューマンための演奏会であり第一部はかならずクララが演奏していた。シューマンの自作の発表はいつも第2幕の一番始め。完成したSinfonieの演奏会もあれば、1楽章のみのこともあった。
晩年、シューマンが心を煩っていた頃にクララが子供たちに送った手紙がある。
”Euer Vater ist nicht mehr.(あなたたちのお父さんは具合が良くないの”と始まる
クララはとにかく生きる力の強い女性であったのだろう。1860年、もちろんシューマンの死後であるが、モスクワ、パリ、ベルギー、ロンドンと精力的な演奏活動を続けている。

ツヴィッカウの町、シューマンの生家を尋ねる目的なくしては訪れることはなかっただろう。
町にはシューマントラムが走っていた。
しかしそこには確かな原点がある。今もTheaterの向かいに残る彼のDenkmalに頬寄せたい気持ちに駆られた。
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# by aurorapiano | 2009-09-11 05:29 | 音楽の旅

ベルリンの音楽 あれこれ

今日は、14時から予約しておいたエルンスト・ロイタープラッツ駅にほど近いスタインウェイ・ベルリンの練習スタジオに出かけた。スタインウェイのピアノサロンの隣にそのスタジオはあり、メールか電話で予約すれば誰でも1時間9ユーロで借りることができる。
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しかもここにあるのはスタインウェイのフルコン。きれいな音がでる。ほぼ1ヶ月ピアノを触っていなかったのでメンデルスゾーンの“6つの子供の小品”で初見の練習から始めたが、少し指が動いたところでもう1時間。あさってまた予約を入れておいた。

エルンスト・ロイタープラッツ駅からUバーンにのり、3つめのゾフィー・シャルロッテプラッツ駅で降り、Schloss Charlottenburg(シャルロッテンブルグ宮殿)まで足を伸ばすこととした。
シャルロッテンブルグ宮殿はゾフィー・シャルロッテが建てたベルリン郊外にある夏の離宮であり、その土地の名前からリーツェンブルグ宮殿と呼ばれた1699年に建てられたこの宮殿で、音楽、演劇をこよなく愛し、当時の芸術家、学者、音楽家がこのサロンに集まり、気の利いた洒落た会話の中心にいた美しい人物こそがゾフィー・シャルロッテであり、プロイセン王のお妃でもあった。しかし残念なことにそのわずか数年後の1705年に36歳という若さで亡くなった。(彼女の死後、シャルロッテンブルグ宮殿と呼ばれている)
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ゾフィー・シャルロッテは音楽についてこう書き記したそうだ。
“あなたを捨てたり騙したりしません。裏切ることもなく、残酷だったことも一度もありません。それどころかすべての魅力と心の躍動を引き出すことができるのです。それに引き換え、友人たちはいい加減だったり、人を騙したり、恋人さえも恩知らずなものです。”
彼女の言葉から私のなかの“音楽の普遍性へのあこがれ”が少し刺激されたかもしれない。
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# by aurorapiano | 2009-09-03 06:59

ベルリン歌劇場 オープンエアコンサート Bebelplatz

8月30日(日曜日)16時開演。シュタッツオーパー横のベーベルプラッツには大勢の人。ざっと5千人くらいはいるだろうか。ご機嫌ななめの子供をあやしながら肩車をする親子。専用のシートやいすを置いて演奏を聴く人。聞き方はひとそれぞれ。
演目はチャイコフスキーのロメオとジュリエット、そして交響曲5番。
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私はロメオの途中から聴き始めたのだが、間髪入れず交響曲5番へ。
楽章間のパウゼは全くなく、むしろ4楽章のフィナーレの前の全休止の方が間が長かった。続くコーダでは、そこからかなりゆっくりテンポを落としてモチーフが再現され一気にフィナーレへ。コンサートホールの演奏とは異なりオープンエアならではの響きを考慮した最後の演出がとても印象的であった。
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Saatsoper in unter den Lindenのwebsiteより
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# by aurorapiano | 2009-09-01 15:22 | オーケストラ

音楽・四方山話


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